気分障害について
気分の変動を特徴とし、最もありふれた心の病気です。
気分障害Q&A
Q.1 どのような症状がありますか?
◆うつ状態
ゆううつ感、無気力、不安感、無感動、集中力低下、悲観、自責の念、死にたくなる などが主な精神症状です。食欲不振(体重減少)、不眠、性欲低下、全身倦怠感、頭重感、肩こり、腰痛などの身体症状も重要です。
重症になると、悲観的な妄想(自分は罪深い、破産してしまう、死の病に取りつかれている)、自殺企図がみられます。
◆躁状態
気分爽快、多弁、高揚、怒りっぽい、衝動買い、誇大妄想が主な精神症状です。疲れを知らない、不眠、食欲亢進性欲亢進などもあります。
Q.2 病態について詳しく教えてください。
うつ病
うつ状態のみ示すものです。全人口の6%が罹患する最もありふれた心の病気です。中高年男性に多く、環境要因が大です。過大なストレスに長期間さらされたときになりやすいです。
典型的な環境要因として次のようなものがあります。
- 荷下ろしうつ
懸案解決でほっとしたときのうつ - 引っ越しのうつ病
環境の変化や引っ越し作業負担によるうつ - 昇進うつ
昇進した責任の重圧によるうつ。性格としては、几帳面・徹底的・仕事熱心・責任重大などの特徴があります。
双極性障害(躁うつ病)
躁状態とうつ状態を繰り返すものです。全人口の1%が罹患し、若年発症が多く、遺伝要因大です。
性格的には、明朗・社交的、人情味が厚い、気分易変などが主な特徴です。
Q.3 治療について教えてください。
薬物療法
うつ病では抗うつ薬が、双極性障害では気分安定薬が主力ですが、いずれも即効性がないため、睡眠薬・抗不安薬・抗精神病薬が補助的に用いられます。
精神療法
十分な休息、支持的精神療法(訴えを傾聴・共感)、家族への説明(服薬要請)、認知行動療法、当院で行われている森田療法も慢性期のうつに有効です。