認知症について
認知症は軽度も含めるといまや800万人を超え、高齢化社会においては最も重要な疾患です。
認知症Q&A
Q.1 どのような種類がありますか?
◆アルツハイマー病
認知症の約半数を占める代表的な疾患です。高齢ほど発症率が高くなります。
記憶障害から始まり、認知機能全般の低下をきたします。画像診断では最初に「海馬」に萎縮が見られ、やがて脳全体に萎縮が広がります。
原因として、神経細胞の老廃物であるアミロイドβ蛋白が蓄積し次第に神経細胞が死滅するという説が有力です。
◆血管性認知症
多発性脳梗塞など脳血管障害によって引き起こされる認知症です。脳梗塞の部位や時間的経過による症状のばらつきがあります。
◆レビー小体型認知症
幻視・パーキンソン症状(筋肉のこわばり・小刻み歩行・手指振戦)・うつ症状等を特徴とします。
◆前頭側頭型認知症(ピック症)
人格変化(頑固・自己中心的)で始まり、記憶障害が少ないという特徴があります。脱抑制・奇行が主症状です。
Q.2 症状について教えてください
中核症状
- 記憶障害
短期記憶障害(記銘力低下)→長期記憶障害→見当識障害の順番で進行します。 - 理解判断能力低下
問題解決能力・判断力・想像力低下→計算・学力低下→失語・失認(道に迷う)、失行(物の使い方がわからない)、実行機能障害(調理・洗濯など手順がわからない)
周辺症状
- 頑固・自己中心的になり、さらに怒りっぽくなったり、興奮、抑うつをきたします。
最終的にはぼんやりとした状態や逆にやたら泣き出したりします。 - 幻覚、妄想
財布をどこに置いたか忘れる、誰かに盗まれたと考える。「子供がいる」などの幻覚もみられます。 - せん妄
寝ぼけたり、不穏、昼夜逆転、傾眠 - 奇異行動
夜間徘徊、異食(異物を食べる)
Q.3 治療法について
薬物療法
中核症状に対して認知症薬がありますが、効果は限定的で病気の進行を遅らせる効果があります。周辺症状に対しては睡眠薬・抗精神病薬などを用います。
療養の工夫
日中は作業療法・毎月行われるレクリエーションの準備から関わってもらい、人との交流を持たせていくことです。